2012年5月16日 | 税理士ブログ
【節税】役員報酬の決定が大事です
今回は、役員報酬の金額の決定について、法人税法における定期同額給与、
事前確定届出給与、一定の利益連動給与のうち、
定期同額給与を取り上げます。
ご存じの方も多いと思いますが、会社での役員報酬の額は、
毎期の株主総会により決議することで決定されます。
現行の法人税法においては、会社はその決議した金額どおりに
支払わなければ、役員報酬が経費として認められないことがあります。
では、株主総会で役員報酬額を決議するにあたり、
何をポイントに決めればよいでしょうか?
まずは、会社の法人税等の負担と役員個人の所得税等の負担を比べましょう。
資本金が1億円以下の法人で役員報酬を支給しない状況での利益が
800万円見込める場合の税負担について考えてみます。
(1)役員報酬を年収800万円と設定したケース
法人税・住民税・事業税は法人所得がゼロのため税負担額はありません。
一方の所得税・住民税は800万円の給与所得に対して
超過累進税率等を用いて税金を計算します。
ご本人様の家族構成などで大きく変わってきますが、
税負担額は実効税率15%程度と仮定して約120万円です。
(2)役員報酬を0と設定したケース
会社のもうけが800万円残ってしまいます。
法人税・住民税・事業税は800万円の法人所得に対して、
実効税率を約32%として税金を計算すると、税負担額は約256万円です。
一方の所得税・住民税は給与所得がゼロのため、税負担額は0円となります。
税負担額を比較してみると、(1)120万円、(2)256万円となり、
倍以上の税負担の差が生じています。
役員報酬額の設定により、法人税等と所得税等を足した納税額は、
大きく変わってきます。
役員報酬設定の際は、是非、シミュレーションをして、
金額を設定してください。
役員報酬の設定は、節税の要素だけを考慮して決めるべきではありません。
役員個人の生活費や、会社の金融上の与信、個人の与信、
キャッシュフロー、役員借入金の残高などを考慮して決定しましょう。